LOVEGOGO

「熱帯魚」の鬼才チェン・ユーシュンが贈る、誰にでも訪れる“恋の季節”の物語

エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンやツァイ・ミンリャンらのいわゆる“台湾ニューシネマ”の系譜から、突如出現した異端の新人チェン・ユーシュン。デビュー作『熱帯魚』(95)が国内外で絶賛を浴び、その次回作のゆくえに否応なく注目が集まるなか届けられたのは、とってもキュートでいとおしい、お互いに呼応しあう3つのラブストーリー。

どんな人間にもふとしたタイミングで訪れる「恋の予感」を独特の感覚で描いた本作は、原色を大胆に配した色彩設計、ベタな懐メロからBPM高めのロックまで無節操にちりばめられた選曲の妙、そして3つのストーリーが結晶する感動のラストとあいまって、今観てもその新しさに驚かされざるをえない。

 97年に本作発表後、チェン・ユーシュンは長い沈黙期に入ってしまうが、『熱帯魚』『ラブ ゴーゴー』という残された2作品の輝きは失せることなく、以降の台湾映画に強い影響を与え続けた。そしていま、待望のデジタル修復が実現、この映画の魅力を制作当時のクオリティーで体験できる機会がようやく訪れた。

一目見たら忘れられない超個性的なキャストたちが奏でる、絡み合った3つの恋模様

ケーキ職人の冴えないアラサ―男子、アシェン。アシェンのアパートに同居する食欲旺盛なおデブちゃん、リリー。アシェンが小学生のときの初恋の君リーホア、セールスには100%向かない内気な痴漢撃退グッズセールスマン、アソン――。どこにでもいそうな、でもどこかヘンな若者たちが紡ぐ物語。

 アシェンを演じたチェン・ジンシンは映画の裏方スタッフ、リリー役のリャオ・ホイヂェンはテレビ業界のマネージャーと、2人とも演技はズブの素人。しかし以前からの知り合いだったチェン・ユーシュンがその存在感に目をつけて大抜擢、結果2人とも見事その年の金馬奨受賞という快挙をなしとげた。